このサイトの目的
一体どの情報が正しいのか?
インターネット上にはぎっくり腰について解説している 様々なサイトがあって、サイトごとに書いてあることが 違いますね。一体どの記述を信じればいいのか分か らない、という方もおられるでしょう。
なぜ解説がまちまちなのかというと、整形外科的検査 で原因のはっきり分かるもの、つまりレントゲンなどの 画像診断で解剖学的な異常が視認できるもの以外は、 原因がはっきりしていないのが現状だからです。
ですから、ぎっくり腰の原因は可能な範囲で推定して いくしかありません。
当サイトでは、他のサイトでのぎっくり腰についての記 述のうち、よく見かけるものについて
できるだけ客観的にみて
適切かどうか評価しています。
その上で管理人の考え るぎっくり腰への対処法もアップしています。管理人は 鍼灸師ですので、その点も考慮して参考にしてくだ さい。
ぎっくり腰の原因は一体何なのか?
ここでは、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、整形外科的検査ではっきりと原因 の分かるものは除外して、いわゆる「ぎっくり腰」=急性腰痛の原因を探っていきます。
○ ぎっくり腰の原因 候補1
「 重いもの・軽いものを持ち上げたから 」
評価
その他にも、くしゃみをしたから、急に捻ったから等を原因と書かれていることがあり ます。しかしこれらが原因だとすると、日常生活でぎっくり腰が頻発してしまいます。 たんなるきっかけに過ぎないと考えるのが妥当でしょう。
○ ぎっくり腰の原因 候補2
「 加齢 肥満 身体の硬さ 」
評価
加齢については、20代の方でもぎっくり腰になることや、逆に70代以降の方にあま り発症しないことから、完全に否定できます。
肥満・身体の硬さに関しても、実際の症例からほとんど関係ないのではと推測され ます。
肥満は、何かにつけて原因とされますね。医療機関でも、あらゆる痛みについて「原 因になる」と説明される場合が多いようです。実際膝痛等では体重を落とすことで痛 みが消えることがあります。
ただ、ぎっくり腰になる患者さんに肥満のかたは多くあり ません。むしろ、細身の方が多いように感じています。
○ ぎっくり腰の原因 候補3
「 筋肉の疲労 栄養不足 」
評価
疲労に関しては、そういう観点からみればおかしくないように思われます。 どんな疾患でも、疲れている時に発症 することが多いのは、常識と言ってもいいくらいです。ただ、ぎっくり腰が単なる筋肉の 疲労でおこるなら、肉体労働をされている方に多く発症するはずですが、実際はそう でもありません。
普通の腰痛の場合は、職種との関連ははっきりと現れます。例えばヘルパーさん やトラックのドライバーさんに腰痛持ちの方が多いです。これはやはり、特定の姿勢・ 動きが腰の筋肉に負担をかけるから、と考えていいと思います。
ただぎっくり腰の 場合、職種との関連はそれほどはっきりはしていません。
栄養不足については、関連はあるかもしれません。例えば、特定のサプリメントを摂取 することで、発症を防げる可能性があります。ただ、日本の豊かな食料事情を考えれ ば、原因としては否定されるでしょう。
○ ぎっくり腰の原因 候補4
「支持筋の弱り+過緊張」
評価
ぎっくり腰の患者さんの筋肉がこの状態になっていることは否定できないでしょう。 実際、弱っている支持筋をある程度回復させ、加えて過緊張をおこしている支持筋の 緊張を和らげれば、痛みがかなり軽減されます。
念のため説明しておくと、
○弱っているというのは、筋肉が本来の収縮力を発揮していない状態、つまり緩んだ 状態をさします。
○過緊張というのは、負担が掛かり過ぎたり、あるいは拮抗筋が弱す ぎたりするために必要以上に収縮し、硬くなっている状態をさします。
筋肉は必ず、相反する作用の筋肉と拮抗することでバランスを保っています。 一方があまりに弱くなりすぎると、それだけでもう一方が縮んだ 状態になります。つまりバランスを失った状態になります。
拮抗する筋肉のバランスが崩れたとき、 特に重要なのは支持筋の弱りを回復させることだと推測されます。
なぜなら、過緊張状態にある筋肉をマッサージなどでほぐしても、それほど効 果が現れないことと対象的に、弱っている・緩んでいる筋肉を回復させ、収縮できる状態 にすると、過緊張状態にある筋肉も比較的容易に緊張を緩めるからです。 そもそもギックリ腰の患者さんの過緊張状態にある筋肉は、マッサージでやすやすとはほ ぐれてくれません。
また、過緊張にある筋肉をマッサージすることで逆 に悪化させてしまっているケースがよく見られますが、この場合は目的を達成できなかった ばかりか炎症をかえって悪化させてしまったということになります。
ぎっくり腰の際にマッサージで症状の改善を図る場合、マッサージすべきポイントをよく心得た 施術者にお願いしましょう。
さて支持筋の弱りが問題だということになれば、当然次に考えなければいけないの はなぜ弱るのか?という疑問ですね。いろいろなサイトを見て回っても、この部分にま で記述しているところは、なかなかないようです。
○ ぎっくり腰の原因 候補5
「骨盤のずれ、椎骨(背骨)のずれから靭帯の損傷がおきる」
評価
この考え方も否定できないでしょう。ぎっくり腰があれほどの強い痛みを起こすのも この考え方なら説明できます。ずれが少しづつ大きくなっていくことが、普通の腰痛 などの疾患につながり、ぎっくり腰の場合はこの「ずれ」が一度に大きく生じることで、 痛みも炎症も激しく起こるという考え方には、無理がないように思われます。
もちろんこの考え方もぎっくり腰発症時の解剖学的変化を捉えたものにすぎず、原因 を探っていくには「なぜずれるのか?」という疑問についての答えを探さないといけま せん。
普通に考えれば、関節がずれるのは前出の「支持筋」が骨をしっかりと支持できてい ないか、あるいは特定の筋肉の過緊張によって、その筋肉の方へ骨が引っ張られて いるから、更にはその両方ということになるでしょう。
交通事故や外傷によっても関節はずれますが、ぎっくり腰の場合は大きな外力がか かっていないので、こういった考え方が妥当かと思われます。
ただこの考え方は管理人のものであって、ぎっくり腰の原因を骨のずれとしている ことの多いカイロプラクティック院や整体院のサイトでは、「支持筋」について 触れている例は少数です。
よく見られるのは、姿勢や重い荷物を持つときの体の使い方が間違っていることが 原因という記述ですね。
○ ぎっくり腰の原因 候補6
「姿勢の悪さ」
評価
原因として、姿勢の悪さを挙げているサイトは意外に少ないように思われます。実際 に来院される患者さんが姿勢が悪いかというと、そうでもないように思います。
姿勢 の悪い典型として「猫背」を想像される方が多いと思います。その猫背を例にとって考 えてみても、猫背の人が多い印象も、管理人には全くありません。
ただこの原因説に関しては、骨格を詳しく見ておられるような先生なら、共通点を把 握されている方がおられるかもしれません。
カイロプラクティックや整体の治療院のサ イトには、ぎっくり腰について簡単にしか記述していないものが多く、この部分はうか がい知る事ができないので残念に思われます。
それでも、正直言って的外れなことを原因と記述しているサイトが多いことを考えれば、 ぎっくり腰になる患者さんの姿勢に関する共通点を把握しておられる骨格の専門家は 少数ではないかと想像されます。
ということで、この原因説に関しては管理人が骨格の専門家でないため、申しわけあ りませんが正確には評価できません。
余談ですが、猫背の方には胃腸の丈夫でない方が多いと認識しています。
○ ぎっくり腰の原因 候補7
「運動不足」
評価
あらゆる痛みにおいて、原因とされてしまう運動不足。確かに適度な運動 はからだの調子を良くしてくれる、ということを否定する人はいないでしょう。
ただ予防には有用でも、原因とするにはあまりに抽象的すぎる、と感じます。 例えば、運動不足が原因なら、特にどの筋肉を動かせばいいのかや、どの位の運動量 が必要かなど、もう少し具体的に知りたいですね。
それでも、健康を保つために適度な運動がオススメであることは言うまでもありません。
ぎっくり腰の原因 まとめ
いろいろなサイトでのぎっくり腰についての記述を評価してきましたが、 これらからは、どんな結論が導きだされるのでしょうか。
○ 原因は階層をなしている
たとえば、関節のずれが筋肉の問題から起きると考えると、筋肉の問題が より深い原因ではありますが、関節のずれも原因として間違いとは 言えません。
ただ、自分でぎっくり腰を克服しようと考えるなら、より根本的な原因を 追求しなければいけませんね。
骨格の専門家は骨格へのアプローチで治療するので、臨床の現場では 骨格のみを考慮すれば目的は達成できます。 同じように筋肉の専門家は筋肉へのアプローチで治療するので、 当然筋肉のみが焦点となります。
ただ、その考え方ではまたぎっくり腰になってもおかしくありません。
「もうぎっくり腰にならないために」を目的にして原因をさぐるのなら 生活習慣に答えを求めることになる、と管理人は考えます。
○ 原因は生活習慣?
管理人がぎっくり腰との関連性を 見出せるのは、 食事の内容と就寝時刻です。
特に就寝時刻は具体的に聞き取れる内容なので 評価しやすいのですが、 就寝時刻が早い人は、もしぎっくり腰になっても重症になる 人はまずいません。
また食事の内容については、おなかを冷やしていない人は ぎっくり腰にはなりにくい、ととらえています。 おなかの状態は、舌を診ることでおおよその見当がつくのですが おなかに冷えのある人は表面が白っぽくなっているか、 むくんだように大きくぼてっとしています。
では習慣とぎっくり腰がなぜ関連をもつのか、を考えてみましょう。
就寝時刻が遅い人は腎臓・副腎が弱り、そして冷たい食べもの・あまいもの・ビールなど を好んで飲食するひとは、胃腸が冷えます。つまり弱ってしまいます。
一方、ぎっくり腰になった際働きを回復させれば、症状を改善できる筋肉は 腸腰筋とお腹周りの筋肉です。これらの筋肉が働くようになれば、 背中側で痛みを出していると思われる筋肉、例えば一般に背筋といわれる筋肉群は 自然に緊張を緩めます。
臓器の状態と筋肉がどう関係があるんだろう?と思われるのが普通だと思います。 ですが筋肉の学問では臓器と筋肉の関連性が見出されています。
その学問(アプライドキネシオロジー)によると、 腎臓と腸腰筋が、そして 胃腸とおなか周りの筋肉とが関わりを持っています。
ですから、腎臓が疲れれば腸腰筋の働きが低下し、胃腸が冷えればおなか周りの筋肉の働きが 低下します。
結論として、夜更かしの人の胃腸がある一定以上弱ってしまうと ぎっくり腰のおきる条件が揃うのではないか、と推測されます。
ただこの考えは管理人のものです。 また違った考え方もあるかもしれません。 ひとつの参考として頂ければ幸いです。